こんにちは、Shinonomeでモバイル領域を担当している@mcz9mmです。最近はFigmaでのWebデザインなども担当させてもらったりしていて、エンジニアなのかどうかわからなくなってます。
さて、そんな私ですが今回は特許調査についての勉強会を社内で行いましたのでその話について共有したいと思います。
調査の目的
特許調査の目的としては大きく3つの目的があり、
- 技術動向を分析するため
- 侵害防止調査をするため
- 無効資料調査をするため
- 特許を出す予定で先行して技術を調査するため
などが挙げられます。
技術動向調査ではミスリードが生じないようにし、侵害防止調査では漏れがないようにし、無効資料調査では無効化できるものを1件でも見つけることが最優先事項になります。それぞれ目的にあった探し方をすることが重要です。
特許を出願する際に、既に同じような技術の特許が出願されていないか予め把握しておくことは非常に大切です。また、知らずに特許を侵害してしまう可能性を防ぐためにも調査は必要不可欠になります。
特許情報プラットフォーム J-PlatPatで調査を行う
特許公報はJ-PlatPatで無料で検索することができます。
J-PlatPatで調べられる内容
公報類
- 特許分類
- 審査請求の有無
- 出願人、代理人、発明者
- 発明の名称
- 要約
- 特許請求の範囲
- 発明の詳細な説明
- 図面
特許庁保有データ
- 審査記録、審判記録の各書類
- 審査請求の有無
- 出願人等の変更
- 審査時に審査官が特許分類を修正した
情報 - 登録後の権利状態
- 権利者等の変更
検索方法
J-PlatPatでは大きく3つの調べ方ができます。
- 特許・実用新案番号照会/OPD
- 特許・実用新案検索(キーワードで検索)
- 特許・実用新案分類照会(PMGS)
特許・実用新案番号照会/OPD
文献番号(出願番号・公開番号・特許番号等)が分かっている場合、文献番号を指定して照会するやり方。
(番号の入力欄を間違えると検索結果に表示されないので注意が必要)
特許・実用新案検索(キーワードで検索)
これが一番アプローチとしてはシンプルです。技術用語や出願人名等のキーワードや特許分類を用いて検索することができます。
特許・実用新案分類照会(PMGS)
PMGSでは特許分類の分類表を照会したり、コード又はキーワードで特許分類を検索するアプローチです。
キーワード検索を行う際に分類コードを使って絞り込むという組み合わせで利用する機会が多いかなと思います。
特許分類について
特許の分類については詳細に書こうとすると内容が細かくなってしまうのでイメージで掴んでもらえれば。。
IPC (International Patent Classification, 国際特許分類)
世界知的所有権機関(WIPO)が管理する国際特許分類に関するストラスブール協定(1971年) に基づいて作成されている。日本は1977年に加入。
全技術分野を段階的にセクション、クラス、サブクラス、メイングループへと細分化した構造になっています。
グルーピングしてそこから詳細に落とし込んでいくイメージです。
例えばG06K9は
G06: 計算または計数
G06K: データの認識;データの表示;記録担体;記録担体の取扱い(印刷それ自体B41J)
G06K9: 印刷されたまたは手書きされた文字を読取るまたは認識するため,またはパターン,例.指紋,を認識するための方法または装置
の様に構成されています。
さらにG06K9:00から分類されているのがわかります。
FI (File Index)・Fターム (File Forming Term)
日本の特許庁独自の特許分類
FI: IPCを日本特許の実態に合わせて細展開したものになります。(原則としてIPCの最新版に準拠)
Fターム: 複数のFタームを組み合わせて用いることを想定しています。
例えば5B064AA01は、
5B064: 文字認識
AA: 読み取り用途
01: 記帳
の様に構成されています。
CPC (Cooperative Patent Classification:共通特許分類)
「共同特許分類」とも呼ばれ、欧州特許庁(EPO:European Patent Office)と米国特許商標庁
(USPTO:United States Patent and Trademark Office)で共通に使われる特許分類体系のこ と。
USPC(United States Patent Classification:米国特許分類)
米国特許庁(United States Patent & Trademark Office:USPTO)が採用する特許分類で、米 国特許で用いられている。
引用: 国際特許分類、FI、Fタームの概要とそれらを用いた先行技術調査より
検索の流れ
- 特許のキーワードを洗い出し検索してみる(例:画像解析、マッチング、前処理、対象画像抽出)
検索項目が全文だと 件数が多くなりすぎるときは 要約/抄録や請求の範囲で絞り込んだり、期間の設定を行い絞り込んでみる
- 検索結果で関係ありそうなものをチェックする
名称、出願人を見て関係ありそうなものを探してみましょう。関係ありそうなものが見つかったら、そのFIもチェックしておきます。これは再度検索を行う際に利用します。
- 中身をチェックする
読み慣れない特許の中身ですがポイントを抑えて確認してみましょう。
まずは図面を見て関係がなさそうであればその時点でスルーしましょう。
IPCやFIを確認する。こちらも調べたい内容の範囲かどうか確認します。
請求項1を読んでみる。長すぎるものや理解できないものはスルーして良いと思います。
請求がシンプルな条件なほど範囲が広く強いイメージです。
請求項が理解できない場合は要約や背景技術、発明が解決しようとする課題を読んでみると、特許の発明の中身が見えてきます。
- 条件を変えて再度検索する
1~3までの手順を行い、検索したいIPCやFIなどが大体決まってくるかと思いますので、
検索条件に加えて再度検索をして調べ直しましょう。基本的にこの繰り返しです。
後は気になる特許を抽出するだけです。
見方さえ抑えれば怖くありません!
最後に
Shinonomeでは仲間になってくれる人、パートナー企業様を募集中ですので、お問い合わせからご連絡をいただけると嬉しいです!(私のTwitterのDMでも構いません!)